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ロストロポーヴィチのBrilliant箱を検証する

 ロストロポーヴィチのライヴ録音集(Historic Russian Archives: Mstislav Rostropovich Edition)がブリリアントから出ています。

このBOX、20世紀ソ連音楽を中心にわりと珍しい曲も入っているし、お買い得なセットだと思うのですが、面倒なのが、すでによそから出ていた音源が結構入っていることです。そう高くないし、気にせず買えばいいってなもんですがやはりどれとどれが既出なのか気になる。おまけに比較しようにもデータがいかにも杜撰で,結局聞き比べなければはっきりしたことは言えない。ということで,やってみることにしました。

ロストロポーヴィチのライヴ録音のまとまったソースとしては,EMIの箱 'Rostropovich the russian years 1950-1974' がありましたが、それ以前に Intaglio や Russian Disc からもいろいろと出ていました。Intaglio や Russian Disc は著作権上問題があったようで、現在は廃盤になっています。他にも合法非合法含めていろいろなレーベルから出ていましたが,私も全部は持っていませんし,それら全部を聞き比べることは一人では無理です。情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらメールか掲示板ででも情報をいただけるとうれしいです。(2006.3.24)

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CD 1 プロコフィエフ,ミャスコフスキー

SERGEY PROKOFIEV: Symphony-Concerto for Cello & Orchestra in E minor, Op. 125

Moscow Philharmonic Orchestra/Kyrill Kondrashin

10'00"/16'16"/9'50"
27-12-1971

いきなり問題含みです。プロコフィエフの交響的協奏曲はEMIの箱の DISC 3 にも入っているのですが、EMIで盤は、奇妙なことに、第1楽章と第2,3楽章で指揮者も日付も違う演奏が組み合わされています。表記は第1楽章がIsrael Gusman 指揮(27 XII.1972),第2,3楽章がロジェストヴェンスキー指揮のUSSR State Symphony Orchestra (25 II.1964)となっています。EMI盤とBrillant盤の表記を比べてみると、第1楽章は、日付が同じなのに指揮者が違うことに気づきます。演奏時間は 10'11"/15'49"/9'33" です。

で、聞き比べた結果なのですが、第1楽章は全く同じ録音です。8'43"から9'13"あたりで数回聞こえる聴衆の咳が全く同じであることがマーカーになるでしょう。音質はEMIの方が良好です。つまり,少なくとも第1楽章の指揮者に関してはどちらかが間違っているというわけです。

第2,3楽章は、EMIとBrillantは確かに違う録音のようです。咳やノイズの位置も違います。EMIのデータが正しいと仮定すれば、Brilliantの第2、3楽章はグスマン指揮かもしれません。

なお、Russian Reveletion RV10102に入っているこの曲の演奏は、1964年2月25日ロジェストヴェンスキー指揮ソヴィエト国立響となっています。つまり日付と演奏者はEMI箱の第2,3楽章と全く同じなのです。しかし,聞き比べてみたところ,EMIともBrilliantとも全楽章違う演奏です。調べてみると,これは1957年クルト・ザンデルリンク指揮レニングラード・フィルの演奏(YEDANG YCC-0155)と同じでした。音質はYEDANGのほうが上かな。カッティングレベル(?)がかなり高くてステレオプレゼンスもかかっているのでそう聞こえるのかもしれませんが。おそらく、1964年2月25日にロストロがロジェストヴェンスキーとこの曲を演奏したことは確かで、Revelation はそのデータを違う演奏のテープに付けてしまったのでしょう。

ややこしいので整理しておきましょう。まず第1楽章は次の2種類の演奏があります。カッコ内は表記されている指揮者名です。つまりどちらかが間違いということです。

  1. EMI(Gusman)/Brilliant(Kondrashin)
  2. Russian Revelation(Rozhdestvensky)/Yedang(Sanderling)

おそらく1. はグスマン,2. はザンデルリンクが正しいと思います。絶対というわけではありませんが。

次に第2,3楽章は3種類あります。

  1. EMI(Rozhdestvensky)
  2. Brilliant(Kondrashin)
  3. Russian Revelation(Rozhdestvensky)/Yedang(Sanderling)

たぶんロジェストヴェンスキーの演奏はEMIが本物で,Revelationは間違いでしょう。3.はザンデルリンクでいいと思います。2. はコンドラシンの可能性もありますが,信頼度は低いですね。グスマンの方がまだありうるように思います。

NIKOLAY MIASKOVSKY: Cello Concerto in C minor, Op. 66

Moscow Philharmonic Orchestra/Kyrill Kondrashin

10'02"/17'13"
27-12-1971

ミャスコフスキーの協奏曲は、EMI箱CD9に,スヴェトラーノフ指揮ソ連国立響(14.I.1964)との演奏(10'38"/17'22")が入っていますが,別録音のようです。どちらも咳が多く似た雰囲気の録音なのですが,やはり咳の位置が違います。

ロストロポーヴィチによるこの曲の録音は全部で4種あります、サージェント指揮フィルハーモニア(EMI)、ファクトロヴィッチ指揮モスクワ響(Me)、それにスヴェトラーノフ(EMI箱)とコンドラシン(Brilliant箱)です。このうち,サージェントは忘れましたが,ファクトロヴィッチはライヴだったはずです。LPは持っていたのですが,今すぐには出てきません…。

CD2 ドヴォルザーク,シューマン

ANTONIN DVORAK: Cello Concerto in B minor, Op. 104

USSR State Radio & Television Symphony Orchestra/Boris Khaikin

14'48"/11'45"/12'39"
23-6-1957

 ロストロポーヴィチのドヴォルザークはいったい何種類あるのか知りませんが、ハイキンとの演奏は昔からLPで出ています(Melodiya D04092/3)。CDだと YEDANG YCC-0015 がハイキンとの演奏です。ですから、まずはYEDANG と Brilliant が同じ演奏かどうかということを検証します。

 日付は、Brilliantは23-6-1957, YEDANG が1957/7/10となっています。17日ほど違うわけです。しかし、二つを比べてみるとどうやら同じ演奏のようです。第1楽章12'39"(296-7小節)でロストロが一拍早く出てしまっていることと、第3楽章 3'42付近のかすかなノイズがマーカーになるでしょう。演奏時間は Brilliant が 14'48"/11'45"/12'39", YEDANGが 14'52"/11'49"/12'47"です。まあ誤差の範囲内ですね。つまり、どっちかの日付が間違ってるわけです。音質はどちらが上とも言いがたいですね。

 次に、LPの録音と同じかどうかという問題ですが、私はこのLPを持ってないので、同じかどうかはわかりません。ただ、Brilliant/Yedangはライヴではないようなので、同じである可能性もあるかと思います。

ROBERT SCHUMANN: Cello Concerto in A minor, Op. 129

USSR State Symphony Orchestra/Gennady Rozhdestvensky

10'43"/3'33"/8'27"
30-11-1960

 ロストロポーヴィチのシューマンの協奏曲は,少なくとも6種の録音があります。LP時代から出ていた録音が,

サモスード/モスクワ・フィル MELODIYA D08253/4
ロジェストヴェンスキー/レニングラードpo. DG
バーンスタイン/フランス国立 EMI

そしてCD時代になってから出たライヴ録音が、

1961.7.6 ブリテン指揮LSO BBC LEGENDS BBCL410-2
1963/10/5 ハイキン&ソヴィエト国立SO (10'40"/4'33"/7'34") YEDANG YCC-0116
1969.10.10 オイストラフ指揮USSR so. Russian Disc

です。他にもあるかもしれません。  で、この Brilliant の1960年11月30日の演奏は、EMIの箱(CD8)でも出ています。日付も演奏者も同じ、聞き比べても同じ演奏です。演奏時間の表記がちょっと違う(Brilliant は10'43"/3'33"/8'27"、EMIは 10'43"/4'27"/7'47")のですが、これはトラックを切る位置の違いです。音質はEMIのほうがだいぶ鮮明です。

 他の演奏では、念のためYEDANGのハイキンと聞き比べましたが別演奏です。スタジオの3種とBBCはたぶん大丈夫でしょう。

CD3 サン=サーンス,ハイドン

CAMILLE SAINT-SAENS: Cello Concerto in A minor, Op. 33

USSR State Symphony Orchestra/Victor Dubrovsky

6'00"/3'50"/7'59"
14-2-1964

 サン=サーンスの協奏曲は Russian Disc RD CD 11 101 で出ていました。指揮も同じドゥブロフスキー、日付も同じです。ラロ,オネゲルの協奏曲も入っていて、この3曲とも Brilliant のセットに入っているのと同じ演奏ではないかと思うのですが、私はこのCDを持っていないので断定はできません。

 サン=サーンスの協奏曲は他にストリャーロフ&ソヴィエト国立放送SO(YEDANG YCC-0155),それにジュリーニ/LPO(EMI)というのがあります。まあEMIと同じと言うことはないと思うので,YEDANGと比べて見ましたが,別録音でした。Brilliant の録音は明らかにライヴ録音で咳やノイズが多いんですが,YEDANGはほとんどありません。演奏時間も Brilliant が6'00"/3'50"/7'59", YEDANGが5'48"/5'07"/8'53"と、だいぶ違います。

 LPでは,YEDANGと同じストリャロフとのスタジオ録音があります(MELODIYA D02578/9)。これがYEDANGと同じかどうかという問題があるんですが,どうなんでしょうね。YEDANGは1953年録音となっているんですが,それにしては少々音が良すぎるような気がします。LPを持ってないんでなんともいえませんが。

JOSEPH HAYDN: Cello Concerto No. 1 in C major / Cello Concerto No. 2 in D major

Moscow Chamber Orchestra/Rudolph Barshai

15-9-1963

バルシャイとの1963年9月15日の演奏は、1,2番ともYEDANG YCC0124としても出ています。これは問題なく同じ録音です。音質はたいして変わりません。

ハイドンの協奏曲は他にブリテン/ECOとの第1番(DECCA),ロストロポーヴィチ(弾き振り)/ASMF(EMI)でも第1,2番(EMI)がありますが,DECCAとEMIの1番ではブリテンのカデンツァ,EMIの2番ではロストロ自作の使っているのに対して,バルシャイとの演奏では楽譜に書いてある作者不明のカデンツァをそのまま弾いてます。

CD4 チャイコフスキー,グラズノフ,ハチャトゥリヤン

PYOTR ILYITCH TCHAIKOVSKY: Variations on a Rococo Theme, Op. 33

USSR State Symphony Orchestra/Gennady Rozhdestvensky

17'36"
30-11-1960

これはEMI箱に入っているのと同じ録音で間違いありません。日付表記も同じ1960年11月30日です。音質はやはりEMIのほうが上です。1963年のロジェストヴェンスキー/レニングラード・フィルとの録音が YEDANG YCC-0160 で出ていますが、

PYOTR ILYITCH TCHAIKOVSKY: Pezzo Capriccioso in B minor, Op. 62

USSR State Symphony Orchestra/Gennady Rozhdestvensky

6'56"
13-5-1964

ALEXANDER GLAZUNOV: Minstrel Song for Cello & Orchestra, Op. 71

ALEXANDER GLAZUNOV: Melody

National Symphony Orchestra of the USSR/Nianonov

4'31"/7'38"
22-9-1949

このように書いてあるんですが,いろいろ間違いがあります。まず,グラズノフのメロディ(トラック4,おそらく op.20-1 のことかと思われます)は入っておらず,トラック2と同じ,チャイコフスキーの Pezzo Capriccioso が再び(但し別演奏)が入っています。吟遊詩人の歌はちゃんと入っています。

この2つ(3つ)は他のレーベルでCD化されているかどうか知りません。Pezzo Capricioso はフレンニコフ・ヴラーソフとともに Russian Disc RD CD 11 110(ロジェストヴェンスキー指揮モスクワ放送響, 1964) で出ていましたので,トラック2かトラック4のどちらか(たぶん2)が同じ録音である可能性はありますが,私はこのCDを持っていないので未確認です。他にBBCL4110でブリテン/ECOのライヴが出ています。まさか同じ録音ということはないと思いますが…。

ロストロポーヴィチは、ここに本来入っているはずだった3曲を,メロディヤのD10071/2という1枚の25cmLPで出していました。小カプリッチオーソは伴奏者不明,『メロディ』はアノーソフ指揮ソヴィエト国立響,吟遊詩人の歌はコンドラシン指揮モスクワ響との共演です。共演者は全然違うんですが,本来入るはずだった演奏は、組み合わせから見てこのLPと同じ演奏である可能性があると思います。私はこのLPを持っていないんで比べることはできません。

なお,Brilliant の日付は、チャイコフスキーが13-5-1964, グラズノフの2曲が22-9-1949となっています。グラズノフの2曲はD10071/2より前にD1406/7として出ていましたから(チャイコフスキーは含まない)これはあながちでたらめでもないということになります。Brilliant の Nianosov というのは聞いたことない名前だなあと思いましたが,ニコライ・アノーソフを見間違えたんじゃないでしょうか。

ARAM KHATCHATURIAN: Concerto Rhapsody for Cello & Orchestra

Moscow Philharmonic Orchestra/Yevgeny Svetlanov

22'03"
17-10-1965

スヴェトラーノフの名前がクレジットされていますが、これは明らかに間違いです。なぜならこのCDに入っている演奏はピアノ伴奏だからです(笑)。EMI箱CD11の Aza Amintaeva のピアノ伴奏による録音と同じです。1'22"あたりの会場ノイズがマーカーになるでしょう。音質はEMIのほうが上です。

CD5 ショスタコーヴィチ,チーシチェンコ&ヴラーソフ

DMITRI SHOSTAKOVICH: Cello Concerto No. 1 Op. 107

USSR State Symphony Orchestra/Gennady Rozhdestvensky

5'55"/10'20"/4'57"/4'29"
10-2-1961

これはEMI箱(CD4)と同じです。日付も同じ61年2月10日で問題なし。

BORIS TISHCHENKO: Concerto for Cello & 17 wind instruments & percussion

Symphony Orchestra/Yevgeny Svetlanov

22'49"
28-11-1968

これはEMI箱(ブラシコフ指揮)とは別演奏でした。なお、ブラシコフ指揮のこの曲のCDはもう一種あります('Boris Tishchenko Oeuvres Album I'JMR CD 005)。日付はEMIと同じ1966年2月6日。演奏も同じでした。6'57"あたりのノイズがマーカーになります。メロディヤから同じメンバーでLPが出ていましたが同じ演奏かどうかは未確認です。

VICTOR VLASOV: Cello Concerto

USSR State Radio & Television Symphony Orchestra/Gennady Rozhdestvensky

11'00"/3'05"/9'46"
13-5-1964

ヴラーソフの協奏曲は Russian Disc からフレンニコフとのカップリングで Russian Disc RD CD 11 110 として出ていましたが,私は持っていないので比較できません。

CD 6 プロコフィエフ,K.ハチャトゥリヤン

SERGEY PROKOFIEV: Cello Sonata in C major, Op. 119

A. Dedyukhin(pf)

10'08"/4'06"/7'02"
10-1-1967

ロストロポーヴィチのプロコフィエフのソナタというとリヒテルとの録音が有名ですが, EMI箱のCD3に入っているリヒテルのと聞き比べると別録音でした。まあ当たり前といえば 当たり前なんですが,念のため。

ロストロポーヴィチとデデューヒンによるプロコフィエフのソナタって,何かで出てましたっけ?

ARAM KHATCHATURIAN: Cello Sonata

Aram Khachaturian

7'28"/10'24"
10-1-1967

実際はアラムではなくカレン・ハチャトゥリヤンです。EMI箱のCD10に入っているのと同じ録音です。日付表記も同じです。

IGOR STRAVINSKY: Russian Song

A. Dedyukhin(pf)

4'04"
11-11-1968

これは1968年11月11日の演奏。EMI箱CD1に1960年12月11日の演奏が入っています。一応聞き比べましたが別演奏でした。

EDUARD MIRZOYAN: Cello Sonata

A. Dedyukhin(pf)

17'54"
11-11-1968

M. ROSTROPOVICH: Humoresque, Op. 5

A. Dedyukhin(pf)

2'08"
11-11-1968

この2曲は他にCDがあるかどうか知りません。

CD 7 プロコフィエフ,ヴァインベルク,クニッペル

SERGEY PROKOFIEV: Concertino for Cello & Orchestra in G minor, Op. 132

USSR State Radio & Television Symphony Orchestra/Gennady Rozhdestvensky

7'28"/5'43"/4'10"
13-5-1964

MIECZYSLAW VAINBERG: Cello Concerto in D minor, Op. 43

USSR State Symphony Orchestra/Gennady Rozhdestvensky

12'45"/16'54"
25-2-1964

LEV KNIPPER: Concerto-Monologue

USSR State Symphony Orchestra/Gennady Rozhdestvensky

15'56"
25-2-1964

この3曲はいずれもEMI箱(プロコフィエフはCD3, 他はCD7)に入っていて,日付表記も一致しています。3曲とも同じ録音でした。

プロコフィエフは1964年5月13日ロジェストヴェンスキー指揮モスクワ放送響なのですが,他にRussian Revelation RV10102で1960年11月30日,ロジェストヴェンスキー指揮ソヴィエト国立響という演奏が出ています。しかし聞き比べるとこれも同じ演奏でした。

ヴァインベルクとクニッペルは,EMIのほかにRussian Disc RDCD11111というのがあります(他にレヴィチンも収録)が私はたぶん持っていません。持っている人がいらっしゃったら日付だけでも教えてください。

CD 8 ラロ,オネゲル,ソゲ

EDOUARD LALO: Cello Concerto in D minor

USSR State Symphony Orchestra/Victor Dubrovsky

12'27"/5'40"/6'25"
14-2-1964

ラロの協奏曲は、同じドゥブロフスキーとの録音が Russian Disc RD CD 11 101 で出ていました。ただ,サン=サーンスの項に書いた通り,同演奏かどうかは持っていないので未確認です。

ARTHUR HONEGGER: Cello Concerto

USSR State Symphony Orchestra/Victor Dubrovsky

3'37"/6'31"/5'17"
14-2-1964

これはEMI箱CD6と演奏時間,演奏者とも同じです。念のため聞き比べましたが同一録音でした。ラロと同じCD(Russian Disc RD CD 11 101)にも入っています。

HENRI SAUGUET: Cello Concerto in D major

USSR State Symphony Orchestra/Victor Dubrovsky

22'15"
14-2-1964

スラヴァのソーゲといえば,ソーゲ指揮ソヴィエト国立響と共演したチェロとオーケストラのためのメロディ・コンセルタントというのが Russian Disc RDCD11108(64.1.14, c/wブリテン:チェロ交響曲)として出ていました。これは、メロディヤのC04645/6というLPと同じ音源ではないかと思います、ドゥブロフスキーとの演奏がこれと同じかどうかは未確認です。

CD 9 ベートーヴェン ブラームス

LUDWIG VAN BEETHOVEN: Cello Sonata in C major, Op. 102 No. 1

A. Dedyukhin(pf)

7'41"/6'56"
7-11-1961

JOHANNES BRAHMS: Cello Sonata in E minor, Op. 38

A. Dedyukhin(pf) 1960.12.11

11'44"/5'27"/5'24"
11-12-1960

この2曲はYEDANG YCC-0079 としてどちらも同じ日付の録音が出ていました。聞き比べてみると同一録音でした。音質は Brilliant の方が上です。

ROBERT SCHUMANN: Funf Stucke Im Volkston, Op. 102

A. Dedyukhin(pf)

3'07"/3'07"/1'10"/3'44"/2'19"
15-12-1960

このシューマンの小品集は第1,4曲のみ YEDANG YCC-0156 に入っています。ただしこちらは1953年録音,ピアノはヤンポリスキーです。聞き比べて見ましたが別録音でした。

ところで,Brilliantのトラック表示によると,CD9のトラック[7]からトラック[11]にこの「5つの小品」が入っているように書いてあるのですが,これには問題があります。最初の3曲([7]から[9])はいいのですが,トラック[10]は第4曲ではなく第3曲の途中に切られていて、第4曲は[11]に入っています。第5曲は入っていません。

つまりこういうことです。表示によると,こうなっているはず。 Schumann: Fuenf Stuecke im Volkston Op.102
[7] 1. Mit Humor
[8] 2. Langsam
[9] 3. Nicht schnell, mit viel Ton zu spielen
[10] 4. Nicht zu rasch
[11] 5. Stark und Markiert

ところが実際にはこうなっています。

[7] 1. Mit Humor
[8] 2. Langsam
[9][10] 3. Nicht schnell, mit viel Ton zu spielen
[11] 4. Nicht zu rasch
5. Stark und Markiert(収録なし)

なお,[11]の後には拍手が入っています。何かの事情で4曲目までしか弾かなかった録音を,編集した人が5曲入っていると勘違いしたのかもしれません。あるいは,[11]はテープの回転数が安定せず,非常に気持ち悪いことになっていますので,5曲目の録音はさらに状態が悪く,破棄されたのかもしれません。

GABRIEL FAURE: Apres une Reve

A. Dedyukhin(pf)

IGOR STRAVINSKY: 2 Movements from “Le Baiser De La Fee”

A. Dedyukhin(pf)

MANUEL DE FALLA: Ritual Fire Dance

A. Dedyukhin(pf)

D. MELE: Brazilian Dance “Tijuka”

A. Dedyukhin(pf)

3'18"/3'09"/3'04"/2'35"
15-12-1960

最後のMELEというのはDarius Milhaudのことのようです。ちなみにロシア語でこの作曲家の綴りは Дариус Мийо となります。なんでこんな間違いが起こったんでしょうね。この小品4曲はEMI箱のCD1に入っているのと同じ録音でした。EMIの日付表記は,ストラヴィンスキーとファリャが 60.12.11,他は表記なしです。ピアノはどちらの箱でもデデューヒンとなっています。

CD 10 ブリテン,ブリッジ,バッハ

BENJAMIN BRITTEN: Suite for Cello Solo No. 2 Op. 80

3'26"/3'57"/1'42"/4'37"/6'07"
11-11-1968

ブリテンの組曲第2番はEMI箱のCD2に入っている録音と同じです。Brilliantは1968年11月11日,EMIは日付表記なしです。

FRANK BRIDGE: Cello Sonata H. 125

Alexander Dedukhin, piano

8'59"/4'52"/7'22"
11-11-1968

GEORGE FRIDERIC HANDEL: Aria

Alexander Dedukhin, piano

3'44"
11-11-1968

JOHANN SEBASTIAN BACH: Suite for Cello Solo No. 5 in C minor BWV 1011

6'59"/3'11"/1'32"/3'55"/4'58"
15-12-1960

ブリッジ,ヘンデル,バッハは他レーベルで出ているかどうか知りません。ヘンデルは,ソナタHWV371のラルゲットというのがEMI箱のCD1に入っていますが別の曲です。「アリア」が何の曲のアリアなのかは不明です。バッハの組曲は,後年のEMIへの全曲録音以前に,2番と5番がMELODIYA D08541/2 として出ていました(国内盤LPもあったはず)。同じ録音かどうかはわかりません。

いままでのところをエクセルのファイルにまとめてみました。

http://hayes.cside2.jp/Rostropovich_Brilliant.xls


 結論ですが,全38曲のうち,15曲がEMI箱と同一録音でした。YEDANGやRussian Disc, Russian Revelationから出ていたものも含めると(Russian Disc は持っていないのが多いので推測です)26曲が既出。従って初出の可能性があるのは12曲ということになります。EMIの箱やYEDANGの一連のCDを持っている人にとっては,実質4枚組ぐらいということになりますね。

 音質ですが,EMIで出ていたものは,ほぼ例外なくEMIの方が良いです。Brilliant の方が大きな音で収録されているので,細部の聞き取りづらい装置では Brilliant の方が良く聞こえる可能性もありますが,音の大きさを同じぐらいにして比較すればよくわかります。YEDANGについては,Brilliant のほうが良いものも悪いものもありますが,どちらもたいして良くはないです。

 曲目,演奏者,日付の表記については相当間違いが多いです。特に日付に関してはデタラメに近いと考えた方が良さそうです。これは,EMIの箱にも注意書きがありましたが,元のテープにそもそもデータが書かれていないものが多く,推測で補ったためでしょう。

 ただ,演奏はいいものが多いですし,音質もそうひどいものもありませんので,買う価値のあるセットであることは間違いないと思います。

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