コンドラシンのショスタコーヴィチ/第8聞き比べ

〜MELODIYA・ PRAGA・EVEREST〜



PRAGA というレーベルから,その名の通りプラハでの著名な演奏家の貴重な録音を収めたCDがたくさん発売されています。ところが,それらのCDの演奏のいくつかが、実はメロディヤのスタジオ録音を流用したものであったということが最近わかりました。例えばロジェストヴェンスキィー指揮のショスタコーヴィチ/交響曲第4番などがそれです。私も最近までこのことを知らず,NIFTY-Serve のFCLAで知って驚いた一人です。

ただし厄介なのは,スメターチェク指揮のショスタコーヴィチ/第3番やムラヴィンスキィ指揮の第10番のように,明らかにスタジオ録音とは違う,恐らくは本物らしき録音があることです。しかもこの第10番も,併収の「ボルト」組曲(ロジェストヴェンスキィ指揮)はLPからのダビングのようです。

というわけで、手元の他の PRAGA 盤もいちいち確認せねばならないことになってしまいました。あまり楽しい作業とは言えませんが,手始めに、コンドラシン指揮モスクワ・フィルによるショスタコーヴィチの交響曲第8番(PRAGA 250 040)を聞き返してみました。これを取り上げたのは、ライヴとも書いていないし、拍手も入っていないしいかにも怪しげだと思ったからなのですが、結論から言うと,スタジオ録音とは別録音であることがわかりました。一番わかりやすい違いは、第5楽章[164][165]のヴァイオリン・ソロが、PRAGA盤ではミスをしているのですが、メロディヤ盤ではしていないということです。但し、併収の「ロシアとキルギスの主題による序曲」は、LP特有のノイズや、クライマックスでの歪みがあることと、演奏後の拍手が明らかに後から加えられたものであることから、マキシム・ショスタコーヴィチ指揮のスタジオ録音である可能性があると思います。ただしこちらは未確認です。

ついでに、やはりコンドラシン指揮の8番を収録した、EVEREST の 3250 というLPについても書いておきます。これは 'A FIRST AMERICAN RECORDING' とジャケットにあるのですが、メロディヤ盤と同じ演奏のようです。ミスの皆無な演奏で、しかも音質が不明瞭なので比較しにくいのですが、メロディヤ盤のLP(CM03583-4)では、第5楽章の[138]あたりから、おそらくは原テープの故障のため、かすれたような音になっています。これが EVEREST 盤にも入っているのが決定的な証拠です。


(98.10.25)



ショスタコーヴィチ

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